林檎と恋

林檎ジャムを作りました。
10個の紅玉りんごの皮を、ひたすら剥いて刻んで・・・
お鍋を火にかけたら、なんていい匂い!
かなりハッピーな作業です。

数ある果物の中で、一番好きなのは林檎です。
桃ほどスウィート過ぎず、苺ほどラブリー過ぎない
しゃりしゃりと爽やかな甘さが好き。
赤くてまるい、ルックスもかわいい。

だからかどうかは分かりませんが、
林檎をよんだ、二つのうたも好きです。

一つは、教科書にも出ていた 島崎藤村の「初恋」。



やさしく白き 手を延べて
林檎を我に あたへしは
うすくれないの 秋の実に
ひと恋そめし はじめなり


という2連と


林檎畑の 樹のしたに
おのずからなる 細道は
誰がふみそめし かたみぞと
問ふたまふこそ 恋しけれ


という4連 (1連と3連も素敵です)。
林檎の甘酸っぱさと、可憐さが、初恋の、
緊張感のあるときめきや
胸が苦しくなるようなせつなさ
なんかにぴったりです。


もう一つは、北原白秋の和歌。


君かへす 朝の敷石
さくさくと 雪よ林檎の香のごとく降れ





不倫の恋を歌ったものだそうで、
一晩を過ごした家を出て、玄関扉から門まで続く敷石の上を、夫のもとへとかえっていく恋人の
肩にふりかかる雪や
その背中を見つめる人が、目の前に浮かんでくるような、
詩情にみちた歌です。

こちらもやはり、どろどろした不倫の背景よりも、
ただ お互いをどうしようもなく愛おしく思う気持ちや、
それでも帰らなければ、帰さなければならない苦しさ、せつなさが、
林檎の持つ爽やかな、あまやかなイメージで 美しく想像されます。


ジャムを作るという、きわめて家庭的な作業のあいまに、
恋について、
しばし思いを馳せた、
文学的な時間でした。


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by patofsilverbush | 2013-10-30 11:42 | 生活 | Trackback | Comments(0)

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