人気ブログランキング | 話題のタグを見る

性質

子どものころから、異世界にはとても馴染む性質です。


両親の教育、というか、
そんなにおおげさではない、ごく日常の言動や、
学校や、社会通念の中で、
「現実」に馴染んでいったり、損なわれたりした部分はたくさんありますが、
その「現実」は、わたしにとっては
いつでも生きにくい場所でした。

人生の半分ほどもきて、
ようやく、
自分の本質に戻りつつあるような気がします。

実家はいわゆる葬式仏教。
日常的にお経を唱えるとか、仏さまについて考えることは特になく、
お彼岸にはお墓参りに行き、
お正月には初詣に神社に行って、なんら違和感もおぼえない、
日本の典型的な、普通の家庭だったので、

キリスト教の洗礼を受ける際には、
表だって両親に何か言われることはなかったものの、
内心、反対や不満を抱いているのがばればれ~な雰囲気でした。


突然 娘が宗教にはしった!!!!!的な?
わたしにとっては、
今 考えてみれば、自分の本質に帰っただけのことだったので、
神さまのご計画としか思えない
という流れに、素直に従っただけだったのですが。

とはいうものの。
クリスチャンにはあるまじき思考!と、神父様やシスターや、信徒の方々には、
目くじら立ててにらまれそうな?感覚も、多分に持ち合わせています。

いわゆる異世界、
この世のものではない世界、
というものは、いつでも、ごく身近なものだったから。
そこには、神さまだけではなく、天使も妖精も小人も魔法使いも妖怪も、
当り前のように存在していたからです。
転生輪廻も、もちろん信じてるし。あ、言っちゃった。
(キリスト教には、輪廻という概念はありえないのです)


こんな風に書くと、霊感があるのかと誤解されそうですが、
幽霊も見たことないし、スピリチュアルな出来事を体験したわけでも、
なにか特別な力があるわけでも、まったくありません。
ただ、「いる」ってことを、感じるということかなぁ。
ああ、ますます誤解を招きそう・・・。

アンが、妖精を空想するように、
空想していた、といったらいいかしら?
でも、大半の人が「そんなのファンタジーだよ」と思うような世界に、
半分くらい、身を置いているのが、アンであり、わたしの状態、
というのが、一番、表現としては近そうです。

そういう性質なんだと思います。

だから、梨木果歩さんの
この本は大好きだし、
実際に体験した、わけではないのですが、
感覚としては、わたしも体験した、というように、やっぱり思えてしまう。


性質_d0314849_10035358.jpg
早川司寿乃さんの、美しくやさしい挿画も楽しめる 絵本です。

大人には「御陵」と呼ばれ、
子どもたちには「マジョモリ」と呼ばれる、
昼でも薄暗い森。
ある朝、つばきは「まじょもりへ ごしょうたい」という、
おりがみに書かれた招待状を受け取ります。

神聖な場所。入ってはいけないと、言われている場所。
つる草の導くままに、えい!と勇気を出して、つばきは森へと足を踏み入れます。

性質_d0314849_10040554.jpg
昨今のダークファンタジーと違って、
わたしが感じていた異世界の住人達は、みな美しく、軽やかな存在でしたが、
それでも、
そこへ行く入口は、
いつも少しだけ、薄暗く、少し怖いような、不思議な雰囲気を漂わせていました。
そりゃあ、そうですよね、
自分が見知っている、「この世界」とは、違う場所なのですから。

もちろん、表面的には、
それは誰が見たって 単純に薄暗い場所であり、
たとえば不審者がいるかもしれないから、入ってはダメ、
というように、
大人なら誰でも思う場所、
ということかもしれませんが、
ただ「暗くて怖い」場所と、「魔法が漂っている」場所とでは、
子どもだったわたしの目から見れば、
あきらかな違いがあった(今もある)ことは、確かです。

そういうふうに、感じる質、
なんだなぁ。
と、本当に最近になって、自覚しました。
世の中の大半の人は、そんなふうには感じないみたいだということも、
最近、よくわかってきたし(おそっ!)。

育ってゆく環境が、その子を育てる、
ということも、もちろんあるけれど、
持って生まれた性質、というものも、確かにある。
息子もちょっと、わたしに似た性質を持っているようですが、
彼の方が、わたしよりは現実に馴染める性質です。

いいところを、損ねないように。
現実と異世界、いいバランスで育ってくれるといい
(その方が、やっぱりどうしたって、楽だからね)。
というのは、一緒に暮らしていて、なんとなく、いつも思うところです。














by patofsilverbush | 2015-04-09 10:26 |

日々のあれこれを綴ります


by anne