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罪悪感にさようなら

2380gで生まれたうちの子。
10か月しっかりおなかの中にいたので、未熟児ではなかったのですが、
それでもおっぱいを吸う力が弱くて、
母乳を自力で飲めるようになるまでに ひと月以上かかりました。



科学的解析がすすみ、母乳に含まれる免疫機能が見直されていることを受けて、
母乳で赤ちゃんを育てたいというお母さんが増えているのだそうです。

息子を生んだ11年前には、働くお母さんのために、
どちらかというと粉ミルク主流で卒乳は早めに、という方が多かったような気がしますが、
息子を生んだ病院は ソフロロジー出産の産院だったこともあり、
母乳を推進していました。


ちなみにソフロロジー出産とは、出産・育児に対して前向きな気持ちをはぐくむことを大切にする出産方法。
おなかの中の赤ちゃんに積極的に話しかけたり、陣痛・出産に対する前向きなイメージを整えるなど、
赤ちゃんが生れる前に、しっかり母性が育つようにと、イメージトレーニングをしたりします。
出産とは、赤ちゃんと子宮の共同作業。
お母さんは赤ちゃんの「外に出て、ママに会いたいよ~」という気持ちを信頼して、
陣痛時にしっかり深呼吸し、赤ちゃんに酸素を届けてあげましょう。
痛いからと体に力を入れてかたくなって、赤ちゃんと子宮の邪魔をしないように!
などと言われましたっけ。
赤ちゃんが生れたらすぐ抱っこさせてくれて、
新生児室ではなく、ずっと同じ部屋で過ごします。
出産直後のくたくたの身体で、24時間・毎日赤ちゃんと一緒って、
なんだか大変そうですが、それが意外とそうでもなくてね。
だって赤ちゃんって、人間でも動物でも、見飽きないものではないですか?



さて、見飽きないのはいいのですが、
母乳が推奨され、母乳で育てたいと考えるお母さん方を悩ませているのが、
「母乳だと、量が足りているのか分からない」という心配と、
「足りるだけの母乳が出ない」という罪悪感を抱いてしまうことだそうです。

わかる~!!
わかります!
と、ニュースを見ながら、11年たった今も思います、わかる!その罪悪感!って。


生れたあと、何度か授乳しているうちに、ふと気づいたのです。
「この子、ちゃんと吸えてるの?」
ただ口に含んでいるだけで、たぶんおっぱいは出ていない状態。
体重も減ってしまったため、看護師さんのアドバイスのもと、
母乳を絞って哺乳瓶で飲ませるという方法をとることになりました。
ふつうの哺乳瓶だと、ちょっと吸っただけでミルクが出るものらしいのですが、
力がついて来たらおっぱい直飲みにきりかえたいので、
吸う力が必要な(つまり、ある程度の力で吸わないとミルクの出ない)哺乳瓶を教えてもらい、
母に買ってきてもらいました。


そのあとですね~、つらかったのは。
なにしろ授乳が、一度にすまないわけですよ。
一度絞って冷蔵庫に保存。
泣いたら哺乳瓶に入れて飲ませ、
哺乳瓶を洗って消毒し、赤ちゃんが眠っている間に次の授乳のためにまた絞って保存。
の繰り返し。
絞って飲ませて の合間がなくて、睡眠時間はほぼゼロでした。
一度にどれくらい飲むのかはまったく赤ちゃん次第なので、
保存してあるもので足りるのかも不安だったし(足りなくなったら、飲めないわけですから)
かと思うと、泣いたのにまったく飲まないで、大量の飲み残しを ただ捨てるだけ、という場合もあり、
(せっかく絞ったのに!こんなに捨てちゃって、次のとき足りなくなったらどうしよう!)
それでも、
「母乳で育てないと!この子の健康な身体は、ここで作られるのだから!」
という脅迫観念にとりつかれてしまったわたしは、
次第に追いつめられるようになりました。

まったく寝ていない状態が何日も続き、
ふらふらの頭でおっぱいを絞っているわたしに、「牛みたいね」などと母が言うのも
本当に腹立たしいというか、殺意すら覚えるくらい(笑)。


ある日、体力・気力の限界がきて
「この一度だけでもいい、粉ミルクに助けてもらおう」と思ったときから、
気分はとても楽になりました。


生後1か月半、2か月にならないくらいからは、ようやくベビーちゃんも体力がついて、
直接おっぱいから飲めるようになりましたが、
実家から自宅に戻った分、今度は食事の支度や食べる余裕がとれなくなり、
母乳の量も減ったので、
母乳と粉ミルクで育てました。



今思えば、なんでそんなに 自分を追いつめてしまったんだろうと思うけれど、
お母さんはみんな、よいものを自分の子供に十分に与えたいと思うものだから、仕方ないんですよね。


いちばん大切なのは、
お母さんに余裕があることだと、今なら思えるけれど。


免疫機能も、赤ちゃんを抱っこしておっぱいをあげることで育まれる母性も、
とっても大事です。
だからといって、粉ミルクで育つ赤ちゃんが不健康なわけじゃない。
足りないもの、あるいかもしれないけれど、
鬼気迫るお母さんが 意地を張って母乳で育てるより、
余裕を持って子育て楽しいな♫と思ってるお母さんに育てられた方が、
赤ちゃんだって居心地がいいに決まっている。


お母さんは、赤ちゃんがかわいいと思ってさえいれば、
罪悪感なんて持つ必要はこれっぽっちもないのです。


それに、母乳をあげる弊害も、なくはないと思ったのは、
息子に食物アレルギーがあると分かったとき。
乳児湿疹がひどくて、かなり長い間、病院に通っていましたが、
血液検査の結果、小麦アレルギーがあることがわかり、
母乳に含まれる 私が食べているパンなどの小麦製品が原因かも、となったわけです。
ちょうど離乳時期であったため、母乳をあげることが次第になくなってからは、
すっかり湿疹もよくなりましたが、もっと早く調べてあげてたら、
かゆくてかわいそうなこともなかったのに と思ったものです。



育児に限らないことですが、
まじめに、一生懸命に取り組むからこそ、
時々 罪悪感にさいなまれてしまうことも、よくあることではないでしょうか。
努力も向上心も素晴らしい、必要なことだけれど
それに囚われてしまう必要なんて、全然ない。
なにより大事なのは、物事を楽しめる心なんですから。

ソフロロジー出産はとても素晴らしくて、
おなかの中にいる赤ちゃんに 早く会いたい気持ちでいっぱいだったし、
出産時だけではなく、生れてからも、たぶん今も、
子どもと一緒に過ごす時間がハッピーだと思えるのも、そんな出産のおかげもあるかもしれません。
でも「これがベスト」だと思うことは、
「これがすべて」「こうあるべき」「こうじゃなければ」と、同じではない。




もし、罪悪感で苦しんでいる若いお母さんがいらしたら、
もうちょっと自分を甘やかしてあげてくださいね。
だいじょうぶ、ちょっといいかげんだって、
完璧じゃなくたって、
あなたが楽しかったら、ベビーちゃんも健やかに育ちますから。



























by patofsilverbush | 2016-09-13 09:43 | 子育て

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by anne