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こころにとどめておいてほしい

とある旅番組で。
北アイルランドの街中にそびえる、長い長い壁の映像が出てきました。
カトリック系住民と、プロテスタント住民を隔てるその壁と、
壁ができる経緯の宗教的紛争の話を聞きながら、
壁かぁ・・・
と、最近新たな壁ができそうな現状をぼんやり考えていると、
「理解するってたいへんなことだね」と 息子が一言。

そうだねぇ。


むかし、自分のことではなかったのですが、
共通の知人である、ある人の行動や気持ちが理解できない、という知人に、
「こういう経緯があって、今、こういう心境なんじゃないのかあ」
と言ったところ、
「そう?そんなこと、わたしには全然理解できないけど!」
と、
それはもう きっぱりと言い切られて、びっくりしたことがあったのを思い出しました。

その人が生きてきた、今までの人生の中の、悩んだ時期があって、今がある、
ことを、「わたしには理解できない」の一言で否定されたことに、
他人事ながらショックを受けたものです。

確かに、他人が何を考えているのかなんて、
明確に「理解」なんて、できないものですけどもね。
それでも「そいつを言っちゃあおしまいよ!」
やっぱり、なんとなく淋しい感じはしますよね。



人に、
自分の気持ちを伝えるのは難しい。
わたしはそもそも、自分の気持ちを表現するのは苦手です。
理解して、もらわなくてもいいかなぁ、なんて、
説明する努力すら、怠ってしまいがち(苦笑)。
自分でも明確な言葉で言い表せない気持ちだってあるし、
はっきり自覚しているわけではないけれど、ぼんやりと考えていることだってある。


ただ、誰かがしどろもどろな言葉で 自分の思いを伝えようとする時、
「え、わからない」
と言ってしまったら、息子の言うように
「もうあとが続かな」くなってしまうと思うのです。
その人の生きてきた歴史、周りの環境、
あらゆることを聞いて、もしかしたら何かちょっと、理解できることがあるかもしれないけれど、
人は他人の話を、そんなに長いこと聞こうとしない。
時間がかかるから。
そして、どちらかというと、自分の話をしたがる生き物ではないでしょうか。
「そうは言うけど、でもね」って。

否定の頭で話を聞くから、
たぶん、理解はできない。
それは同じ人として生まれて、淋しいことだと思う。



理解するのは時間がかかるけれど、
理解しようと思うことは、少なくともいつでもできることですね。


旅の中でひととき映った、壁。
宗教的対立がメインテーマの番組では、まったくないのですが、
人と人が理解しあう、自分とは異なものを受け入れるとは、どういうことなのか、
自由で自律したありかたとは、本当はどういうことなのか、を
諸国をめぐりながら、折に触れ考える旅人。
小学生ながらも、なにか感じることがあるようでした。


理解するって難しい。
と思ったのなら、その思ったことを、大切にしてほしいと思います。
人は、生まれてくる時も、死ぬときも一人です。
理解できることも、一生理解できあないことも、もちろん理解してもらえないことも、
あって当たり前。
その淋しさもしっかり心にとどめて、
簡単じゃないことに、この先、自分の気持ちにも、誰かと出会うことにも
丁寧に向き合ってほしい。

















by patofsilverbush | 2017-02-20 13:59 |

日々のあれこれを綴ります


by anne