ありのままの
2015年 03月 03日
夕立があったある日、虹が出ました。
西の空は夕方の、黄金のるつぼ。
虹のあとには、薔薇色がかった灰色の雲が、どんどん広がって、
なんともいえない、不思議な、美しい空模様でした。
庭に咲いた早咲きの水仙が、
この数日の
眠りに落ちる瞬間や、
朝、目覚めた瞬間を彩ってくれました。
こんなドレスがあったら可愛いな と、モンゴメリの小説のように思ったり。
夏目漱石の『それから』の中に、
ヒロインの三千代が、
鈴蘭のいけてあった鉢から水を飲む、想像するだに美しい場面があります。
気分が悪く、水が欲しいという三千代のために、
主人公の代助は 台所へ水を汲みに行きますが、
書斎へ戻ると、三千代はすでにコップを手にしています。
『「有難う。もう沢山。今あれを飲んだの。あんまり綺麗だったから」
と(三千代は)答えて、鈴蘭の漬けてある鉢を顧みた。
爪楊枝位な細い茎の 薄青い色が、水の中に揃っている間から、
陶器の模様が仄かに浮いて見えた。 』
かつて
想っていた三千代を 親友に譲ってしまった代助は、
彼女が親友と結婚してしまったあとで、
彼女への愛を はっきりと自覚し始めます。
代助・三千代・親友の平岡をめぐる関係を描く『それから』は、
今どきの不倫もののような気持ちの悪さは まったくありません。
漱石の筆はあくまで潔癖で、
三千代の清潔な美しさは、
こんな花の描写にも表れているような気がします。
愛することと、現実に対処する苦悩。
水仙も 鈴蘭も、香りたかい花ですが、
植物の香りは、アロマオイルとは全く違う、
独特の 冷たい清潔さがありますね。
人は自然に癒される と言いますが、
人工的でない、
ただ、あるがままにみせてくれる その美しさに、思わず素直に心をひらくことが、
リラックスにつながるのかもしれません。
西の空は夕方の、黄金のるつぼ。
虹のあとには、薔薇色がかった灰色の雲が、どんどん広がって、
なんともいえない、不思議な、美しい空模様でした。
庭に咲いた早咲きの水仙が、
この数日の
眠りに落ちる瞬間や、
朝、目覚めた瞬間を彩ってくれました。
こんなドレスがあったら可愛いな と、モンゴメリの小説のように思ったり。
夏目漱石の『それから』の中に、
ヒロインの三千代が、
鈴蘭のいけてあった鉢から水を飲む、想像するだに美しい場面があります。
気分が悪く、水が欲しいという三千代のために、
主人公の代助は 台所へ水を汲みに行きますが、
書斎へ戻ると、三千代はすでにコップを手にしています。
『「有難う。もう沢山。今あれを飲んだの。あんまり綺麗だったから」
と(三千代は)答えて、鈴蘭の漬けてある鉢を顧みた。
爪楊枝位な細い茎の 薄青い色が、水の中に揃っている間から、
陶器の模様が仄かに浮いて見えた。 』
かつて
想っていた三千代を 親友に譲ってしまった代助は、
彼女が親友と結婚してしまったあとで、
彼女への愛を はっきりと自覚し始めます。
代助・三千代・親友の平岡をめぐる関係を描く『それから』は、
今どきの不倫もののような気持ちの悪さは まったくありません。
漱石の筆はあくまで潔癖で、
三千代の清潔な美しさは、
こんな花の描写にも表れているような気がします。
愛することと、現実に対処する苦悩。
水仙も 鈴蘭も、香りたかい花ですが、
植物の香りは、アロマオイルとは全く違う、
独特の 冷たい清潔さがありますね。
人は自然に癒される と言いますが、
人工的でない、
ただ、あるがままにみせてくれる その美しさに、思わず素直に心をひらくことが、
リラックスにつながるのかもしれません。
by patofsilverbush
| 2015-03-03 09:24
| 生活