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便利な言葉

よく読んでいるネット雑誌。
ファッションやコスメティック、エンターテインメント情報などのほかにも、
社会的なムーブメントの記事や書評などなど、
バラエティに富んだ雑誌ではあるのですが、
ファッション誌的な、というか、
読者層に伝わりやすい、というか、
何人かいらっしゃる記者さんの、どの方の記事を読んでも
必ず出てくる言葉というものがあります。
先日、その言葉についてコメントされた読者の方がおられました。


「どの方も“ほっこり ほっこり”って・・・・。
同じことを表現するのにも、もっとたくさんの言葉がありますよ」
と。

なんだか不意を突かれたコメントでした。
うん、そうかも!
言いたいことはイメージしやすいけれど、
たしかに「軽い読み物」感は否めない、ある種の便利な言葉。
若い人で言ったら「ヤバい」ですよね。
いい意味でも悪い意味でも、なんでもかんでも「ヤバい」一つで済んでしまう。
便利だけれど、なんだかなぁという言葉。

読む私たちのほうにも、想像力が欠けているのかもしれない。
簡単な言葉しか読まない傾向や、
簡単な表現をされないと理解できない、理解しようとさえしない傾向が
最近、全体的に広がっているのかなと思っていました。
薄っぺらな歌詞に、「いいこと言ってる!」と感動しちゃうとか。

せっかく、ニュアンスを表す言葉がたくさんある国に生まれたのだから、
言葉はたくさん知りたいし、
ことだま、という通り、魂が宿るものでもあるし、
日常の中で大事に、丁寧に使いたい文化でもあります。
場面や、気持ちにぴったりの言葉を探すのは、楽しいことでもあります。
そして
ニュアンスにぴったりの言葉を使う人に出会うと、
さりげない言葉遣いの奥に、人柄の奥行きをも感じたりもします。
(さりげなく使う、というところがポイントですが!
やはり日頃から言葉をたくさん感じてものを考えていないと、このさりげなさは出ないものですよね。
知識は身に着けど、教養は一石二鳥では身につかないものと痛感いたします)


フランスで、
お店の商品を英語表記したりすることが増えたため、
もっとフランス語を使おう!というキャンペーン?が広がっています
というようなニュースを見たのは、いつのことだったか。
残念ながらフランス語には(いえ、フランス語にも・笑)親しみがありませんが
フランス語もニュアンスを大切にする言語であるらしい。
どの国の言葉であれ、
自国の言葉を美しく使いこなせることは、素敵なことです。


便利なことはいいことでもあるけれど、
もっと「デリケートな何か」に欠けることは、ひょっとしたらよくあることかもしれません。








by patofsilverbush | 2019-01-16 14:43 | その他

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by anne